セルビア

美容師への道

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後日公開

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[セルビア] 一人ひとりに寄り添ったサポートを目指して Vol.05(2018.02)

Clothes for Smilesが支援するユニセフのドロップアウト防止プロジェクト。
今回はセルビアのKovačica地域のDebeljača村で、友達や先生たちの力を借りながら美容師になるために学校に通い始めた生徒をご紹介します。

技術学校に通う生徒たちと先生。


クラウディアさん(17歳)は美容師になるためにPančevo技術学校に通っています。資格習得まで残すところあと1学期。お気に入りの実践授業でクラスメイトの髪を切る手つきはスムーズで、立ち振る舞いにも自信がみなぎっています。


「男性のヘア・カットを勉強していますが、本当はブローが一番好きです」と話します。


美容師資格の取得までもう少しですが、もしかしたら、もっと険しい、間違った道を進んでいたかもしれません。


というのも、5人兄弟のクラウディアさんは片方の親をすでに亡くしており、唯一の親は重度の病気を抱えています。家族は小さな土地をもっていますが、耕していないため買い手が見つからず、社会からの援助が受けられません。10歳からわずかなお給料で季節労働に従事してきたため、これまで教育を受ける機会を逃してきました。彼女にとって学校に通う優先順位は高くなかったのです。


クラウディアさんには助けが必要でした。毎日45分の通学時間をなんとか確保し、授業に出席することになりましたが、当時悲しそうに一言「どうにか頑張ります」と答えていました。しかし今は「クラスメイトや先生方からたくさん手伝ってもらっています」と笑顔を見せます。


実践授業中のクラウディアさん。


サポートしてくれる友達と。


週に一度の大事な実践指導でお世話になっている村の美容院のことを誇らしそうに語ってくれました。卒業後はそこで働きたいと思っているそうですが、学校の友達と会えなくなるのが寂しいと言います。強力なサポートしてくれている友達にMilijanaさんとAurelijaさんがいます。


「クラウディアはクラスのみんなから好かれています。よく放課後に遊びにいきます。彼女が休んだ時はノートを貸したり、試験勉強を手伝ったりします」とMilijanaさん。


ピアサポートチームは学習支援だけにとどまらず、クラウディアさんが受け入れられていると感じられる環境作りにも取り組んでいます。Gutaši先生は、すべての教員に好かれている生徒だと話します。


「私の役目は、クラウディアとクラスメイト、そして教員とのつながりを作ることです。彼女には充実したサポートと周囲の理解、少人数での丁寧な授業が必要です」


実践授業を担当するPerić先生は、クラウディアさんの学習面の遅れに気づいていました。しかし、ついていこうとする決意があることを知っていました。


学校は学習支援に加え、通学定期券や給食、教科書、実践授業に不可欠な高額な道具を提供しました。おかげでクラウディアさんは良い成績を収めています。学校はまた、UNIQLOの資金協力をもとにユニセフ・セルビアとセルビア教育政策センター、セルビア教育・科学開発省が実施する、学校からの退学、早期離学防止プロジェの一環である、「生徒一人ひとりのためのサポート計画」を活用し、クラウディアさんのニーズを特定しました。


「プロジェクトのおかげで、中退するリスクの高い子どもを特定する方法がはっきりしました。欠席回数、社会経済的な状況、学校の成績、家庭環境が基準です。とりわけリスクの高い子どもは、こうした要因が絡み合っていることも分かりました。2年のプロジェクト期間中、当校では50人を特定しましたが、最終的に中退したのはわずか4人でした。子ども一人ひとりの問題に取り組む個人アプローチが最善の結果をもたらすことを学びました」とZečević校長は語ります。

子ども一人ひとりの問題に取り組むアプローチが良い成果につながりました。


学校の取り組みにはいくつかのステップがあります。様々な団体との協力が欠かせませんが、なかでも社会福祉施設との連携は非常に重要です。心理学者で、今回のプロジェクトコーディネーターを務めるPrpaさんは、はじめはコミュニケーションがうまくいかなかったと当時を振り返ります。


「長いあいだ返事を待っていました。社会福祉施設のサポートなしでは、学校に援助資材を届けるのは難しかったと思います。さらに、うまく機能していない家庭や暴力がみられる家庭などの場合、社会福祉施設との連携が欠かせません。現在、中退などの緊急の際には、行政手続きをなくしスムーズに支援を行えるようになりました。連携することでいい変化が起こりました」


こう語るPrpaさんは、クラウディアさんを誇らしく思っています。困難があるにもかかわらず、すべてを受け止めてきました。卒業を目前に控えた今、ユーモアあふれる彼女は誰からも愛されている生徒だと言います。


今回のレポート担当:
Jelena Terzić

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[セルビア]一人ひとりに寄り添ったサポートを目指して

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