セルビア

中途退学、早期離学を削減する

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[セルビア]中途退学への取り組みを視察 コミュニティセンターとモデル小学校 Vol.01(2013.12)

第2回のレポートでは、セルビアを取り上げます。11月に実施したユニクロCSR部員による視察の様子を元に、現地でどのような支援が進んでいるのかをお伝えしたいと思います。

セルビアでは現在、小学校におけるドロップアウトが問題になっています。国全体としては96.6%の子どもたちが小学校を卒業していますが、貧困層の集中する地方においては、この比率は88%に下がります。リーマンショックを経た2010年の調査では、国全体で14%の子どもたちが貧困層に属しており、貧困層に絞って見ると、小学校を卒業する子どもたちの比率は72%です。中でもロマの子どもたちについては、63%しか小学校を卒業しておらず、かつ留年せずに卒業する子どもはその中でも35%しかいません。背景には貧困の他、小学校で提供される教育の質の低さ、学校間のネットワークの希薄さ、教師の能力不足、より不遇の立場にある子どもたちへのサポートが足りないことと等、様々な要因があると考えられています。

こういった事実に対し、ユニセフは専門家の分析によりドロップアウト要因を明確化して、それをベースに具体的な施策を立案し、政府や地方自治体、NGOとの協業により、選出された地域にてそれらの施策を試験的に実施していこうとしています。Clothes for Smilesではこのプロジェクトに対する支援を行っております。2013年11月現在、心理学の専門機関によるドロップアウト要因の分析と、いくつかの地方の学校におけるドロップアウト防止策の実施、既に進行しているロマの子どもたちへの教育サポートへの改善提案が進みつつあります。

今回はユニクロCSR部員が、上記取り組みの一環であるロマの子どもたちのために運営されているコミュニティセンターと、先進的な教育プログラムを実施するモデル小学校の視察をさせていただきました。

今回訪れたコミュニティセンターは、セルビア南部のNisという地域にあります。近隣にはロマのコミュニティがあり、子どもたちは学校や仕事を終えた夜にコミュニティセンターに集まってきます。このセンターはNGOの他、大学生のボランティアにより運営されており、学校での勉強や入試のサポート、子どもたちの見識を広げるための様々なワークショップが実施されています。皆で旅行に出かける機会もあります。ちょうどこの時期は、イタリア人写真家を招いて実施した子どもデジタル写真プロジェクト"EYE SEE"にて、子どもたちが撮影した写真とレポートが展示されていました。子どもたちは、同じロマで現在は大学で医学や地理を学ぶお兄さん・お姉さんから大いに刺激を受けているようで、学校で演劇の主役を務めたことや、ドキュメンタリ映画の制作にかかわったこと等を生き生きと話してくれました。このセンターはロマの子どもたちのドロップアウト防止において成果を上げています。ユニセフはセルビア南部の7つの地方において、このようなコミュニティセンターの運営をサポートしており、およそ620人の子どもたちと青年がセンターを利用しています。

次に訪れたのは、先進的な教育プログラムを実施するモデル小学校・Desanka Maksimovic小学校です。セルビア南部のCocotという地域にあります。セルビアでは2009年より、子どもたちを差別なく学校に入学させること、またより脆弱な子どもたちに対しては個別に学習面、また金銭的なサポートを実施することが法律に定められています。2013年にはこれらに加え、ドロップアウトの防止が盛り込まれました。Desanka Maksimovic小学校は、ユニセフがサポートする包括的教育を実践するモデル校のネットワークに加入しており、グッドプラクティスを同じネットワークに属する学校間で共有し合って、相互に学びながら運営されています。これらのグッドプラクティスは他の学校にも共有され、既にセルビア国内の700人の教師がこれらのモデル校でトレーニングを受けました。

Desanka Maksimovic小学校には70人の教師が常駐しており、932人の児童が学んでいます。またこの他にも、学習障害等を抱える125人の児童が教育支援を受けています。学校のカリキュラムに加えて追加の教育支援が必要な子どもたちには、教師や専門家、NGO、父兄等で構成されるチームがサポートに当たっています。英語や仏語のクラス、ITのクラス、芸術教育や適正に応じた7種類の体育のクラスが提供される等、とても先進的なカリキュラムです。クラスはフリーアドレスで、先生も児童もとてもリラックスした雰囲気。これらの取り組みが功を奏し、目下ドロップアウトする児童は0人。こうした学校が、セルビア中に広がっていくといいですね。

コミュニティセンターでもモデル小学校でも、生き生きと学ぶ子どもたちの様子が印象的でした。たくさん勉強して、たくさん夢を見て、セルビアを支える素晴らしい人材がたくさん巣立っていくことを心より願っています。Clothes for Smilesの支援により、セルビアにおけるドロップアウトの問題が解決へと大きく前進するよう、ユニクロもできる限りのサポートを続けていきます。是非皆様のご意見や感想をお寄せ下さい!

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