フィリピン

ミンダナオ島Datu Tahir 中央小学校での取り組み

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後日公開

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[フィリピン]学校改善プランの強化が生徒に力をつける Vol.04(2017.4)

ここは、ユニクロのClothes for Smilesプロジェクトが支援するフィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州のDatu Tahir 中央小学校です。今後3年間、教員と生徒のパフォーマンス、校内の環境、その他の重要な課題に重点的に取り組んでいくと決意するのは、校長のKadatuan 先生です。

「昨年私たちが作成した学校改善計画を通して、学校を欠席したり、読むのが遅かったり、または読むことをしないといった生徒の問題が解決するよう心から願っています。残念なのは、1~3年生の低学年の欠席率が非常に高いことです。率直にお話しすると、米やとうもろこしを収穫する親の手伝いを行うため、すでに3、4年生の間で欠席する生徒が出てきていると考えます。それに3年生以降は雨季や洪水が発生する期間にも授業があるため、通学が疎かになりがちです。」

全校生徒の数は1,250人。そのほとんどが9つの民族の居住地から通学してきています。そのうち6つの地域は学校から4キロも離れています。「学校までの距離も生徒たちが学校を休む要因の一つです。」とKadatuan校長先生は話します。

強化された学校改善のための計画

校長先生は質の高い学業に対するニーズに応えるべく、地域全体が学校改善計画(SIP)に関わるよう、確認を行っています。

「私たちはユニセフの支援で行われたSIP研修に参加しました。新しい計画がどれほど包括的なものなのか注視しているのですが、この計画はまさに教職員が力をつけ、地域参加が拡大することに焦点が当てられています。また、より状況に応じた教育サービスができるようになっていて、効率的、効果的であることも確保されています。」

Kadatuan校長は付け加えます。「現在の改善計画はより包括的です。なぜなら、学校と生徒の状況を改善するために、コミュニティの経済や環境、社会、文化的背景といった様々な阻害要因と促進要因を分析しているからです。」

「わが校は電気代や教材費などの経費に毎月7,500ペソ(160米ドル)の予算をいただいています。しかし、このような少額の経費では学校運営を続けていくことはできません。計画通りに目標を達成するには、生徒だけでなく保護者や村、集落のリーダーからの支援が必須です。」とKadatuan 校長先生は力強く話します。具体手には2015年11月に、改善計画の実行準備に向けて特別チームが招集されました。チームはPTAの役員、学校計画チームや村の教育委員会のメンバー、州の災害リスク担当者から構成されています。

Kadatuan校長先生。学校改善計画を実行していくには教職員だけでなく様々なステークホルダーを巻き込むことが重要だと気付きました。

生徒の参加

Kadatuan校長は、授業の出席率と生徒の読解力の向上、学校の改善に向けて共に取り組んでいく5、6年生の生徒を数人選抜しました。「生徒の意見やアイディアを反映させ、彼ら自身が改善計画の一員であり、貢献していることを感じることが重要だと思います。」と話します。

JabarくんとNoral-amくんは現在6年生。選抜チームのメンバーです。2人ともクラスでトップの成績を収めており、クラスメートが抱えている問題の1つは読解、特に英語に関してであると考えています。読むのが遅い子たちは家庭で家族からのサポートを十分に得られてない様子だとJabar くんは言います。そのため、休憩時間や放課後、彼らと一緒に時間を過ごすようにしています。

「生徒会の一員としてクラスメートを手助けする責任があると思っています。」と最成績優秀生のNoral-am くんは言います。彼らはクラスメートの学習をサポートするだけではありません。Noral-amくんとJabarくんは、他の生徒にルールに従って行動するように注意喚起をしています。毎朝校庭を歩き回り、国旗掲揚式前に参加していない生徒がいないかどうか見つけています。「Jabarくんがかっこいいから、女の子たちが言う事を聞いてくれやすいんです。」とNoral-am くんは冗談まじりに話します。

Noral-am くん(左)Jabar(右) は生徒会のメンバーです。読解が苦手なクラスメートを補助しています。

フロントライナーとしての教員の認識

6年生の担任Dalaya先生は、校長先生が抱いている読解が困難な生徒に対する懸念に共感しています。受け持っている生徒は64人、3人にひとりは読むペースが遅いため、放課後に彼らと一緒に課題に取り組んでいます。学校側はこのニーズに応えるべく、学校改善計画に示されている通り、夏に読解クラスを開設しています。

「教員は教育の最前線にいます。生徒たちの問題を見つけ出し、悩みや課題を解決する方法を示してあげなくてはなりません」とDalaya先生は言います。「読むペースが遅い、あるいはまったく読めない生徒たちが授業に出席できるように英語とフィリピン語(タガログ語)のコーディネーターが補助をしています。」また、四半期ごとに実施している保護者面談の際には、保護者に生徒の状況を伝え、なぜ放課後の読解セッションが必要なのかということを説明していると言います。「読解が苦手な生徒の場合、その保護者も読めないということが多々あります。そのため子どもの読解力を伸ばすためにサポートができないのです。」と話します。

Kadatuan校長は、改善計画実行の一環として学習パートナープログラムを実施しています。このプログラムは、夏の読解クラスの際、読むのが苦手な生徒を持つ3年の担任を4年生の担任が補助するという内容です。また、読解に困難のある生徒数の減少を教員の業務評価に組み込んでいます。

子どもの不登校への取り組み

Kadatuan校長は、数日間休んでいる子どもの保護者に対して、欠席の理由を知らせるよう要請しました。「ほとんどの保護者が携帯電話を持っているので、子どもが欠席する場合には直ちに学校へテキストメッセージで連絡するようお願いをしています。学校職員として、生徒の状況をどうやったら改善できるのか探っています。」

現在Kadatuan 校長先生は、農作物の収穫に子どもを巻き込ませない方法を保護者と話し合う場を設ける計画を立てています。それができれば、子どもが学校を休むことがなくなるでしょう。「学校改善計画の成功に向けて、実行内容を保護者やその他のステークホルダーに共有していくことはとても重要です。次回のPTA会議で状況を共有し、地域全員が何らかの役割を担っていることを伝えていきます。」

今回のレポート担当:
ユニセフフィリピン事務所教育部門 開発コミュニケーション専門官
Janet Rosalie Anne Polita