フィリピン

健康で安全、保護的な学校 - コミュニティのシステムの構築

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後日公開

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[フィリピン]危険の兆しを知ることが大切!進む災害教育の取り組み Vol.01(2013.11)

レポート第一回目の今回は、フィリピンでの支援活動をご紹介します。Clothes for Smilesがフィリピンで支援するユニセフの教育事業の中には、子どもたちを災害の危険から守るための活動が含まれています。
11月8日にフィリピンに上陸した台風30号ハイエンは、甚大な被害をもたらし、1,320万人が被災し、550万人の子どもたちが支援を必要としています。ユニセフは被災直後から懸命の緊急支援活動を続けています。(詳しくはこちら
深刻度を増してゆく自然災害にいかに備えてゆくかは喫緊の課題です。教育を通じて子どもたちに危険と備えについて伝えてゆく活動は、命を守る活動でもあります。

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「Know the risks(何が危険なのかを知ること)。」
災害の危険を避けるために大切な「KKPP」の最初のKは何?という先生の質問に対し、ノロニサ・アクマッドさん(10歳)は自信たっぷりに答えました。ノロニサさんは、友達のアナさんと一緒にキッズキャンプに参加して、災害のリスクを学んでいます。その後、学校に戻ってクラスメートに学んだ内容を伝えるのです。

「KKPP」の残りのKは「Know the Danger signals(危険の兆しを知ること)」、Pは「Prepare an evacuation plan(避難計画を立てておくこと)」、最後のPは「Prepare an emergency grab bag(緊急時の持ち出しバッグを用意しておくこと)」です。

フィリピンの多くの地域が、頻繁に洪水の被害に見舞われています。自治体やコミュニティ、学校、教員や子どもたちがどのように災害に備え、緊急事態が発生した時にいかに学校を速やかに再開できるか。関係者の意識を高め、実際の備えを進め、緊急時の行動計画などを定めるのがこの活動の目的です。

実際にこの活動が実践されてきたJ. Marquez Schoolでは、洪水被害の後、すばやく学校を再開することができました。地域の教育委員会の職員が「緊急時の教育」に関して研修を受けていたため、ユニセフやパートナー団体との協力も進み、学校長は、市の許可を得て、市の公設市場の上階で学校を再開させることを子どもたちに知らせました。

「約3週間、ここが仮の教室となりました。洪水の被害を受けた他の学校の子どもたちも合流しました。通常の授業を行うことは無理だったので、子どもたちの心のケアや災害教育にフォーカスした一時的なカリキュラムを組みました」とピーター・ヴァン・アンウ校長は話します。

災害に関する教育を受けた子どもたちを通じて、各家庭でも災害への備えが進みます。ノロニサさんに「おうちの持ち出しバッグには何を入れるように言われているの?」と聞くと、即座に「水、お金、携帯ラジオ、それぞれの衛生用品や他の必需品」という答えが返ってきました。さらにアナも話します。「クラスメートにも、家でも学校でもいつでも災害に備えることが大切と話しています。両親が家にいない時にもすぐに連絡が取れるように、電話番号を控えておくとか、避難計画をちゃんと書いて家に貼っておくとか、そういうことも大事です。」

ユニセフの緊急時教育担当官ユル・オラヤ氏は、「まず、教員が、平常時だけでなく緊急時にも対応できるスキルを身に付ける必要があります。同様に、コミュニティの参加も強化しなければなりません。プロジェクトを通じてすでに良い経験がシェアされはじめています。この仕組みの整備が実際に機能するものであることを、教育関係者にもっと伝えていきたいと思っています」と話しています。

世界各地で自然災害は増える傾向にあります。こうした備えを体系的に進めていくことが、緊急時にも子どもたちの権利を守ることにつながっていきます。

緊急事態が発生した後、いかに素早く教育を再開できるかは、子どもたちの基本的な権利を守るだけでなく、子どもたちが災害の心理的な傷から立ち直るためにも重要となります。災害後、学校は、子どもたちの日常を取り戻すための、安全な場所となり得るのです。