バングラデシュ

「子どもにやさしい学校」を広め、教育の質を改善する

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後日公開

About Project

[バングラデシュ]子どもにやさしい学校に!先生たちトレーニング Vol.04(2015.04)

Clothes for Smilesがバングラデシュで支援するユニセフの教育事業。先生の力を育てることがプロジェクトの成否を左右します。今回は支援対象となっているガイバンダ県での先生のトレーニングのようすをご紹介します。
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モンスーンの季節。空はどんよりとして、緑色の小学校のグラウンドに大粒の雨が降ります。ひどい雨とぬかるんだ坂道に足を取られて苦戦するのは子どもたちではなく先生たち、そして学校運営委員会のメンバーたちです。みな「子どもにやさしい学校」ワークショップに参加するために集まってきました。このワークショップは、学校を子どもにやさしい環境にし、参加型の授業法を学んだり、学校運営を強化したりするためのものです。

ワークショップのようす


「小学校時代の最悪の思い出は、教室に十分な数の席がなくて、立ったまま授業を受けなければならなかったことですね。」とパラシュバリ郡の小学校の校長をファティマ・シディカさんは振り返ります。ほかの先生も立ち上がって経験を語ります。「私は正しく答えられなかったときに先生にひどくたたかれました。とても怖かったです。」
「それでは、あなたがたが30年前に受けたような仕打ちを、あなたの教室の子どもたちが受けたとしたらどんな気持ちになるか想像できますね。みなさんは今でもそのことを覚えていて苦々しく思っているのですから。ひどい仕打ちを受けたら子どもたちは30年後までそのことを覚えているのです。」こう話すのは、このワークショップを実施しているユニセフ・ボグラ地域事務所の教育担当官ラフィクル・イスラムです。

ワークショップに参加するアトゴリア小学校 モンジュラル・ヘイク校長先生


知恵を得ること

「このトレーニングで、きちんと学べる環境を作るためにも、教員が子どもたちにやさしく接することがいかに大切かを学びました。」とアトゴリア小学校のモンジュラル・ヘイク校長先生。実際、数日前に、遊ばずにサッカーボールの上に座っていた子どもを𠮟ってしまったと打ち明けました。「もう自分の言葉で子どもたちを傷つけないように気をつけようと思います。」

別の学校の校長先生アリヤ・フェドゥシさんもこのトレーニングを受け、みんなの前で子どもを叱り付けるようなことはしないように注意したいと話します。もし何か悪いことをしたとしても、個別に話そうと考えています。「一番心に残ったのは、どうやって教室で子どもの参加を促すか、クラスを各子どもの能力を鑑みながらグループに分けるという方法でした。」アリヤ先生は、そうすることによって、子どもたち同士の学びあいが生まれると感じています。

バライパラ小学校のマームダ・ベグム先生は、校庭の大切さをよく分かっていなかったと話しました。「私の児童の多くは非常に貧しい家庭の子どもたちで、家でブランコなんか作ることはできません。学校にブランコやシーソー、すべり台があれば、子どもたちは必ず毎日学校に来ます。」マームダ先生は、学校に帰って子どもたちのために校庭に遊具を作ろうと決心しているようでした。

シシュドホ小学校の学校運営委員会の委員長アブドゥル・クドゥスさんは、「ムチを惜しめば、子どもをダメにする」という考え方は効果がないと話しました。彼は、先生がどう子どもと接しているかモニターしようと決めました。「学校を定期的に訪れて、先生が休んでいたりしたら、ためらわずに介入しようと思います。」

トレーニングを最重要事項に

小学校の教育の質を確保することはいつも大きな課題です。公式には10年生を卒業した人は先生になることができます。しかし、ここでは6年生までしか終えていない先生も少なくありません。子どもでひしめき合う教室も質の低下の原因になります。子どもにやさしい学校環境を確保するために、先生のトレーニングは欠かせません。

バングラデシュでは、資格のある小学校教員が非常に不足しています。時には一人で、複数の学年や授業シフトを担当しなければなりません。質と数、両方の面で教員が不足しているのです。これが、中途退学率の高さや、習熟度の低さの主要因となっています。

「子どもにやさしい学校」トレーニングの目的は、教員が子どもにやさしい環境を作るものは何か正しく理解し、子ども中心の授業方法を身に付けることにあります。ユニセフは、初等・マス教育省と教育委員会と協力し、ガイバンダ県のパラシュバリ地域の170校で子どもにやさしい学校環境を確保するために活動しています。プロジェクトでは、1057人の教員に対する子ども中心の教授法のトレーニングと、1035人の学校運営委員会のメンバーに対する啓発(学校運営の支援に際しての彼らの役割について)を目指しています。これにより、パラシュバリ地域の73,550人の子どもたちが質の確保された教育を受けられるようになると期待されています。