女子サッカープロジェクト

女の子の生きていく力を育てたい! 女子サッカーチームを通じた、
途上国の女の子のエンパワメント。

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選手のお宅訪問! バングラデシュレポート(2) Vol.07(2014.5)

こんにちは。プラン・ジャパンの橘です。先月に引き続き、バングラデシュでの女子サッカープロジェクトについてご紹介します。

皆さんは、10~15歳のころにメディアの取材を受けた経験をお持ちですか?

「U-15全国女子サッカー大会」の決勝戦に臨むチッタゴン管区チームとシレット管区チームの両キャプテンは、決勝戦前日の記者会見で、約50人の記者やカメラマンを前に自分の意見を述べることになりました。

記者から、決勝戦への意気込みについて両キャプテンに質問が飛ぶと、キャプテンの一人は「相手チームを打倒します!」と力強くハキハキと回答。一方で、もう一人のキャプテンは、大勢の記者たちを前に緊張してしまい、なかなかマイクに向かって発言できません…。周囲が「がんばれ!」と目で訴えかけながら温かく見守る中、キャプテンは隣席のサッカー協会の職員に「試合で全力を尽くす」という意思を伝え、職員が代理で記者たちに回答しました。

このような2人の異なる反応を見て、10~15歳ごろの自分を思い返しました。どちらかと言えばあがり症で、学芸会でも、観客のことを「かぼちゃ」と思わないと緊張して台詞も忘れてしまうようなタイプだった私・・・。人前で話すことの得手不得手もありますが、10~15歳の女の子が大勢の見知らぬ大人、しかもメディアの前で発言することが、いかに勇気を要するかを改めて感じました。

記者会見の翌日は、いよいよ決勝戦。選手にとっては迷惑なくらい日差しが強く暑い中、ダッカ市内の国立競技場で開催され、バングラデシュ国営放送で全国に生中継で放映されました。準決勝で好プレーを見せていたチッタゴン管区チームは、残念ながら最後までゴールネットを揺らすことができず、2対0でシレット管区チームが完勝。見てください、選手とコーチたちのうれしそうな表情!

私は、後日、優勝チームの女子選手数名が通う学校を訪問し、教師や、強化合宿に参加した女の子たち9人(一部は優勝チームの選手)、女の子の家族の話を聞くことができました。彼女たちがサッカーを始めたきっかけは、サッカーをしている兄弟や周囲の男の子たちの影響。しかし、バングラデシュ、特に農村部では、“女の子がサッカーをする”ことは、日本の女の子が日本でサッカーをする状況と同じではありません。

「女の子なのに、なぜサッカーをしなければならないの?それに、勉強がおろそかにならないの?」と、姉から反対された女の子もいました。また、イスラム教徒が約9割を占める同国では、女の子・女性の肌の露出は好ましくないこととされています。そのため、サッカーをすることまでは理解が得られても、ひざ下が露出するハーフパンツを履いて練習や試合に出ることを、親に反対された女の子たちも大勢いました。

こうした状況を変える大きな力となったのは、女性の校長。子どもたちに能力があること、その可能性を伸ばすことの意義を親に説明したり、他のチームの女子選手がユニフォームを着て戦っている姿を見せたりして、親たちの説得を図りました(農村部では教師は模範とされる職種で、教師からの助言は人々に受け入れられやすいという事情があります)。

12歳のイェスミンは優勝チームのメンバーの1人で、学校の最終試験で学年12番の好成績を収めました。

娘がサッカーをすることに関し、稲作を営む父親は次のように語りました。
「最初は反対でした。でも、ピッチでの自信に満ちたイェスミンの姿を見て、応援しようと思いました」
「『1ヶ月も親元から離して、娘を強化合宿に参加させるなんて』という周囲の声は気にしませんでした。合宿を通じて、娘は体力をつけ、コミュニケーション能力もつけました。貧しいがゆえに十分な食事を与えることができない中、合宿で栄養バランスの取れた食事が支給されたことも、ありがたかったです」

イェスミンの兄も、「妹はさらに賢くなり、コミュニケーション能力がつきました。決断力もついたと思います。妹が高等教育を終えるまで、支援したいと思っています」と、頼もしいコメントを寄せました。

「合宿の初日は寂しくて泣いた」と言っていたイェスミンでしたが、自宅を訪れた際、合宿の意識啓発講座で学んだことをさっそく実践していました。「早すぎる結婚を見つけたら、ホットラインで国に通報しますよ!」と、具体的な電話番号を挙げて、近隣住民たちに呼びかけていたのです!

早すぎる結婚は、バングラデシュが抱える社会課題の1つ。バングラデシュの法律では、女性の婚姻が認められるのは18歳以上とされていますが、実際には、20~24歳の女性の64%が18歳を迎える前に結婚しています。早すぎる結婚により、女の子たちは学校に通う機会や、自分の持つ能力や可能性を社会で発揮する機会を失い、家庭内での発言力・決定権が得られない環境に身を置くことになります。また、成熟していない体で妊娠・出産することにより、母子の命を危険にさらす可能性もあります。

早婚防止についての意識啓発は、女の子たちが社会で力を発揮できる環境をつくり、安全な出産を促進する上でも重要です。強化合宿に参加した女子選手たちが、イェスミンのように周囲の意識を変えていくことが期待されます。

イェスミンと同じ学校に通う、全国大会優勝チームのメンバーの1人、ナズマのお話は、こちらをご覧ください。
http://www.uniqlo.com/jp/news/topics/2014051401/
女子選手たちの変化、いかがでしたか? 皆様のコメント、お待ちしています!

今回のレポート担当:
橘 祐子

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